「運動脳」は、脳機能を改善するには脳トレではなく運動が必要と言う昨今の流れを作るキッカケを作った本だと言って良いだろう。
スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏が2年の歳月をかけて、科学的な事実を収集し、一般読者にわかりやすく解説した本書は、2016年にスウェーデンで出版されて以来、今では世界的なベストセラーとして不動の地位を獲得している。
その内容は、最初の出版から8年を経た現在でも陳腐化しておらず、信頼できる情報を厳選しバランス良く紹介した質の高さが伺える。
そんな本書の読み方、活用方法を見て行こう。
ザックリと何が書いてある?
「運動が脳や精神にメッチャ影響を与えるよ!」と言う科学的な事実を、図やイラストを活用してわかりやすく説明している。
誰におすすめ?
おすすめなのはこんな人。
- ストレスが溜まっている人
- 集中力が続かない人
- うつを改善したい人
- モチベーションを上げたい人
- 記憶力を高めたい人
- アイデアをもっと出したい人
- 学力を上げたい人
- 認知症を予防したい人
- 脳の機能を改善したいすべての人
本書の目次と各章の読み方
本書の目次は以下の通り。
第1章 現代人はほとんど原始人
第2章 脳から「ストレス」を取り払う
第3章 「集中力」を取り戻せ
第4章 うつ・モチベーションの科学
第5章 「記憶力」を極限まで高める
第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す
第7章 「学力」を伸ばす
第8章 健康脳
第9章 最も動く祖先が生き残った
第10章 運動脳マニュアル
この中で、第1章が本書のキモ。
この第1章の31頁分が総論で、ここだけ読めば脳を正しく理解し、運動が脳を物理的に変える事がわかるで、時間が無い人はまず第1章だけ読んで運動を始めてしまっても良いくらいだ。
そして、それ以降は、テーマごとのさらに深掘りした各論が展開されていく。
第2章はストレスと脳の関係をHPA軸(H:視床下部、P:下垂体、A:副腎)とコルチゾールから描き出し、運動がそれらの働きを改善する事を図を活用しわかりやすく解説している。
脳神経科学上、ストレスを理解するにはHPA軸(H:視床下部、P:下垂体、A:副腎)の理解は極めて重要であるため、このあたりの解説に力を入れているようだ。
ストレス軽減を目的とする場合は必読である。
第3章から第7章までは、章のタイトル通り。
第8章の健康脳は認知症を含む脳の老化対策についての記述。
第9章は第1章の補足と言って良いだろう。
総論に戻り、脳の為には運動しなければならない事実をダメ押しする内容である。
第10章の運動脳マニュアルは、3頁程度のメモと言う感じで、継続できるように工夫された細かい運動メニューや運動プランが書かれているわけではない。
もしあなたが、継続できる運動プランを知りたければ、以下の記事が助けになるかもしれない。
本書の活用方法
本書の活用=「脳トレ」から「運動」へのライフスタイルの移行と言えるだろう。
本書の底流には常に「脳トレ」と「運動」の対立軸を感じる。
効果の無い「脳トレ」から離れて「運動」しよう。
それが著者のメッセージだと言っても良いだろう。
本書はそのための知識とモチベーションを与えてくれる。
繰返し読んでライフスタイルを移行しよう。